研究概要 |
1.ギラン・バレー症候群患者血漿からのIgG抗ガングリオシド抗体精製 ギラン・バレー症候群患者血漿をプロテインAカラムを用いて,IgG抗GM1抗体を分離精製した.サブクラスは,以前からギラン・バレー症候群で検出されることが報告されているIgG1およびIgG3であった. 2.モノクローナル抗ウサギCD1b抗体の作成 ウサギCD1b分子のcDNAを基に合成したKeyhole Limpet Hemocyanin付加ペプチドをマウスに免疫し,モノクローナルの抗ウサギCD1b抗体を作成した.ウサギ末梢血を抗原にしたウエスタン・ブロットでは,きれいな単一のバンドが得られたが,残念ながらフローサイトメトリーによる樹状細胞表面のCD1との反応性は,非常に弱かった.すなわち,立体構造の認識をしない抗体が産生されたと考えられたため,この系はここで中止した. 3.ギラン・バレーモデルウサギの作成 Yukiら(Ann Neurol 2001)のプロトコールに従って,ウサギを牛脳ガングリオシドで3週おきに免疫し,症状観察・血漿採取・末梢血単核球のRNA抽出を経時的に行った。ELISAにより血漿抗GM1抗体価の推移を調べたところ,免疫開始19日目から抗GM1抗体価は上昇し,死亡したウサギ#1ではIgG抗GM1抗体が最高力価になった2日後,回復したウサギ#2では14日後に発症した.また,ウサギCD1遺伝子塩基配列を基にプライマーを設計し,CD1 mRNA発現の変化をサブクラスごとにRT-PCRで解析した.その結果,グループ1 CD1 (CD1a1,a2,b) mRNAの発現はGBS発症と共に減少し,死亡したウサギでは検出不能となった.回復したウサギでは,グループ1 CD1 mRNA発現はほぼ免疫前の値となった.CD1dのみを有するマウスではGBSモデル作成が成功しなかったが,グループ1 CD1がB細胞上に発現しているウサギGBSモデルは確立された.GBS発症との相関が見られたことから,グループ1 CD1は自己抗体産生に関与している可能性が示唆された.(第78回日本細菌学会および2005 Meeting of the Peripheral Nerve Societyにて発表予定である).
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