研究課題/領域番号 |
16790547
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
岡部 聖一 東京医科大学, 医学部, 助手 (40366109)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2005年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2004年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | HDAC / depsipeptide / 慢性骨髄性白血病 / アセチル化 / 慢性骨髄性白血病(CML) / depsipeptide(FK228) / アポトーシス |
研究概要 |
遺伝子転写は、ヒストンアセチル化酵素(HAT)とヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)のバランスで成立している。HDAC阻害薬はHDAC活性を阻害し、遺伝子の転写を促進させる薬剤であるが、HDAC阻害薬のひとつである、depsipeptide (FK228)による慢性骨髄性白血病(CML)に対する抗腫瘍効果を検討した。FK228はCML細胞株、TF-1 BCR/ABL、K562、H7 BCR/ABL細胞にアポトーシスを誘導し、TF-1 BCR/ABLでは親細胞株のTF-1と比較して有意にアポトーシスが増加した。FK228により、ヒストンのアセチル化が時間、濃度依存性に認められた。AntibodyArrayを使用し、アセチル化タンパクをスクリーニングしたところ、細胞周期関連タンパクや細胞接着因子のアセチル化が認められた、特にBCR/ABL、HSP90、paxillin、Rb、Fak及びp53のアセチル化が確認された。BCR/ABLはFK228により時間依存性に減少した。細胞周期の解析では、G2/M期で停止した。またMAPKの活性化は抑制され、p38MAPKの活性化がみられたがJNKの活性化は認めなかった。アポトーシス関連分子ではCaspase3、Caspase9、PARPが活性化した。またinhibitor of apoptosis (IAP)のmRNAの減少がみられた。FK228によりp38MAPKは活性化したが、p38のinhibitor処理でも細胞周期、アポトーシス、caspaseの活性化に変化がみられなかった。FK228はimatinib耐性症例の細胞に対しても抗腫瘍効果がみられた。hTERT (human telomerase reverse transcriptase)はテロメラーゼ活性と一致し、またHAT及びHDACがhTERTの発現に関与しているが、hTERTのshRNAをCML細胞株に導入し、hTERTとFK228における役割を検討した。hTERTのshRNAを導入すると、親株と比較して、アポトーシスが増加した。次に、FK228投与では、ヒストンのアセチル化に変化はなかったが、FK228によるアポトーシスは抑制された。以上より、FK228はBCR/ABL融合蛋白をアセチル化し、そして崩壊することによりアポトーシス誘導をもたらすと考えられ、imatinib耐性化症例に対するFK228の有用性が明らかとなり、上記の内容について現在投稿中である。
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