研究概要 |
メチルマロン酸血症はメチルマロニルCoAムターゼの障害により生体内にメチルマロン酸およびその代謝産物が蓄積する有機酸代謝異常症である。メチルマロニルCoAムターゼはビタミンB12(コバラミン)の誘導体であるアデノシルコバラミンを補酵素とする。そのためメチルマロン酸血症はメチルマロニルCoAムターゼそのものの遺伝的欠損とムターゼの補酵素であるコバラミン(ビタミン B12)の代謝系の障害に大別される。さらに後者は相補テストなどでcblA、cblB、cblHの3型に分けられる。2002年にcblA、cblBの原因遺伝子(MMAA、MMAB)が単離された。前年我々は日本人ビタミンB12反応性メチルマロン酸血症患者10例において変異解析を行い、変異スペクトラムの欧米人患者との比較を検討し、10人中7人にMMAA遺伝子に変異が認められ(R22X, R145X, L217X, R359G, 503delC)、日本人患者と欧米人患者では変異スペクトラムを異にすることを明らかにした。 本年、変異がMMAA, MMABに変異が見出せなかった3例に関し、既知のコバラミン代謝系酵素(メチオニン合成酵素MTR、メチオニン合成酵素還元酵素MTRR)、メチルマロン酸代謝系酵素(メチルマロニルCoAラセマーゼMCEE)、コバラミン還元反応に関すると推察されるタンパクの遺伝子を検索した(NR1、FDXR)。しかしこれらのいずれにも有意な塩基置換は見出せなかった。 またMMAAに関し症例を追加し、新たな変異R169Xを見出した。
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