研究概要 |
先天性中枢性低換気症候群(Congenital central hypoventilation syndrome : CCHS)の病因は,2003年,フランスのAmielら及び私達のグループにより,PHOX2B遺伝子異常であることが明らかにされている,多数の症例では,PHOX2B遺伝子のポリアラニンの異常伸長(アラニン5〜13個)が検出され,一部の例では点変異が検出されている.ポリアラニンの伸長は,PCR法により検出されるが,この遺伝子配列にはグアニン・シトシン塩基が多く含まれ,増幅が容易でない.今回,私達はゲノムDNAを予めbisulfite処理し,メチル化していないシトシンをチミンに変換し,PCR増幅を容易にする方法を考案し,症例について再検討した.結果として以前の検索では,ポリアラニンの伸長が確認されなかった症例においても,伸長が検出され,ポリアラニンの異常伸長が主因である事を確認した. 本症の臨床型として,殆どの症例は新生児早期に発症するが,一部の症例では乳児期以降に発症する.今回の研究では,親子3代に渡るCCHSを検出したが,祖母は特に呼吸器を必要とせず,母は成人後に夜間の人工呼吸を必要とし,児は新生児期から夜間の人工呼吸の装着が必要としている.いわゆる促進現象と考えられ遺伝子解析をすすめたが,全てアラニン5個のポリアラニンの伸長を有していた.(現在,論文準備中)今後,PHOX2B遺伝子変異型と表現型との関係を明らかにしていく必要がある.
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