川崎病患者の検体を用いて実験を行う前に成人健常人から1検体5mlの採血を行い洗浄血小板の抽出と、抽出された血小板を用いて血小板中の内皮型一酸化窒素合成酵素のmRNAをRtPCR法およびreal time PCR法で測定した。しかし結果はmRNAが検出レベル以下の例も多くあり解釈が困難であった。これは血小板に含有される内皮型一酸化窒素合成酵素のmRNAの量がもともと少ないため、増幅をかけても検出レベルに到達しない、また血小板由来のNOは通常は検出感度以下であり何らかの刺激を受けないと放出されないことが知られており健常人の検体では検出がもともと困難であるなどの理由が考えられた。その対策として一回の実験で採取する採血量を20mlまで増やし、抽出される血小板自体の量を増やして検討を行った。その結果多くの検体で内皮型一酸化窒素合成酵素のmRNAは検出レベル以上で測定された。健常人での検体を用いた場合では安定した結果が得られるようになったが今回の研究の対象となる川崎病の患者の多くは0歳から5歳までの乳幼児であり、健常人と同様に一回20mlの採血を行い研究の検体とするには問題が残り、川崎病患者の検体を用いて研究することは断念した。今後の対策として抽出した洗浄血小板をあらかじめADPやエピネフリンなどで刺激し、内皮型一酸化窒素合成酵素-c GMP系を賦活かさせその後mRNAの定量を行うようにしたいと考えている。
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