研究概要 |
1.ヒト骨髄細胞でCD34^+CD38^-c-kit^<Low/->,CD34^+CD38^-c-kit^<high>またはCD34^+CD38^-flt-3^-thy-1^-,CD34^+CD38^-flt-3^-thy-1^+の各分画における細胞は90%以上が静止期にあった.このことは従来表面抗原のみの解析で示されていた未分化造血前駆細胞集団の細胞周期を解析することにより、細胞周期からも非常に未分化な集団であることを証明した。 2.ヒト骨髄細胞CD34^+CD38^-c-kit^<Low/->,D34^+CD38^-c-kit^<high>またはCD34^+D38^-flt-3^-thy-LCD34^+CD38^-flt-3^-thy-1^+の各分画を培養後、再度表面抗原と細胞周期を同時に解析した結果、SCF,TPO,G-CSF,GM-CSF,IL-3,IL-6存在下で表面膜抗原を変化させることなく細胞周期に入る細胞群がCD34^+CD38^-c-kit^<Low/->,CD34^+CD38^-c-kit^<high>CD34^+CD38^-flt-3^-thy-1^-,CD34^+CD38^-flt-3^-thy-1^+分画に存在する事が分かった。このことは造血幹細胞のself-renewal制御機構を解明する上で重要であると考えられる。 3.未分化造血前駆細胞における細胞休止制御機構を解明する為に、ヒト骨髄細胞CD34^+CD38^-c-kit^<Low/->,CD34^+CD38^-c-kit^<high>分画を培養し、同時に内因性のTGFβをブロックした結果、TGFβはCD34^+CD38^-c-kit^<high>分画の細胞休止には関与するが、CD34^+CD38^-c-kit^<Low/->分画には関与しない事が分かった。このことは未分化前駆細胞の表面マーカーによって細胞休止機構に関与する機構が違うことを示した。
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