研究概要 |
実験方法 1.低酸素性虚血性障害の新生仔ラットの作成 SDラットの日齢7の新生仔を笑気+フロセン吸入麻酔下にて、実体顕微鏡を用いて右内頚動脈の2重結紮切断処置を行う。休憩3時間後に、8%酸素負荷、37℃2時間施行した。 2.障害脳組織の程度の評価(2,3,5-triphenyl tetrazolium chloride(TTC)染色) 負荷48時間後に生理食塩水にて環流後、脳をブレインマトリックスを用いて2mm間隔で冠状断に切断し、1%TTC液にて15分間染色を行い10%中性ホルマリンで固定後、スキャナーでとりこみ梗塞面積の測定を行った。 3.TBARS法による脂質過酸化反応の測定 48時間後に取り出した脳2mmスライスを梗塞側(右側)と対照側(左側)に正中で分割し、マロンジアルデヒド定量を行った。 4.トロンボキサンA2母獣投与による子宮内発育遅延モデル(IUGR)ラットを用いて、低酸素負荷を1)の方法で行い、2)の方法で障害の程度を測定比較する。 実験結果 SDラット新生仔37匹を用いて内頚動脈の結紮切断および低酸素負荷を行い、処置中あるいは低酸素負荷中に死亡は5匹(13.51%)に認めた。48時間後にTTC染色により梗塞を認めたラットは、23/32(72%)であった。IUGRラット新生仔12匹を用いて同様の処置を行い、梗塞を8匹(67%)に認めた。梗塞面積の比較では、正常のSDラット群では26.2±14.3%に対し、IUGR群では28.8±12.9%であった。梗塞面積はIUGRモデルラットで低下している傾向を認めたが、統計学的優位差は認めず。TBARS法による脂質過酸化反応の測定にて、TBARS(nmol/mg protein)で比較し、梗塞側(右側)2.32±1.39×10^<-3>であり、対照側(左側)1.19±0.46×10^<-3>と、梗塞側に過酸化脂質反応が強い傾向が認められた。
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