研究概要 |
アトピー性皮膚炎(AD)患者27例と健常人17例より採取した末梢血を採取し、フローサイトメーターによって、NK細胞表面上の活性化・不活性化マーカー(CD8,CDI6,CD27,CD56,CD57,CD94,CD95)発現に関して、2重染色解析を行った。その結果、AD患者ではNK細胞上の不活性化マーカーであるCD57の発現レベルと発現率が低下し、活性マーカーであるCD27の発現率が上昇している傾向が見られたが、統計学的な有意差は認めなかった。その他の各活性化・不活性化マーカーに関しては、AD患者と対照との間に差を認めなかった。 次に、棚動物モデルとされる慢性接触皮膚炎モデルにおけるNK細胞に関する解析を試みた。繰り返しハプテンを塗布する慢性接触皮膚炎モデルでは、遅延型反応から即時型反応へのシフトに伴って、病変局所のサイトカイン環境がTh 1パターンからTh2パターンへと変化することが明らかにされている。そこで、今回、野生型マウスを用いた慢性接触皮膚炎モデルにおいて、2種の実験を行った。 (1)マウスの末梢血を採取し、フローサイトメーターによって、NK細胞表面上の活性化・不活性化マーカー発現に関しての2重染色解析を行った。その結果、全てのマーカーに関して、多少のばらつきは認めたものの、モデルマウスと対照との間に有意差は認めなかった。 (2)慢性接触皮膚炎モデルの誘発相において、7日おきに2回、マウス尾静脈より抗NK 1.1抗体を投与し、NK細胞機能をブロックした。それによって、Th2への偏位が抑制されるかどうかに関して検討する目的で、マウス末梢血中のIL-5およびIFN-γ濃度を測定したが、モデルマウスと対照との間に有意差は認めなかった。
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