研究概要 |
抗精神病薬による基底核容量変化が起こるか確認するために、まず、治療開始時の横断研究を行った。未治療統合失調症患者の11名(平均27.0歳SD7.6)と,一年以上の薬物投与を受けている統合失調症患者の7名(平均28.9歳,SD8.2)の基底核体積を比較した.未治療統合失調症患者は,生涯で抗精神病薬服用は3ヶ月未満でかつMRI撮影の直前の抗精神病薬投与は8週間までとした. 1.5T Signa GE MRIを用いて研究を行った.尾状核,被殻に関しては,3D SPGR法(TR/TE=3.1/12msec,FA=20,FOV=200mm,slice thickness=1.5mm,matrix;256×256pixels)を用いた.淡蒼球に関しては,IR inversion法(TR/TE=19/3000,FA=90,FOV=200mm,slice thickness=4mm,matrix=256×256pixels)の条件を用いた.MRIcro vl.39を用いてROIを測定した.MRI撮影と同時に精神症状評価としてPANSSを用い,錐体外路症状評価としてESRSを用いた。 次に、縦断研究として、未治療統合失調症患者において、同意の取れた被検者9人に対し6ヵ月間、非定型抗精神病薬(risperidone n=6、olanzapine n=3)にて治療を行った後、フォローアップのMRI撮影を行い、基底核体積変化を測定し、基底核容量の変化は認められなかった。統合失調症患者の基底核容量が変化するかの有無を確認するためには、更なる症例が必要である。
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