研究概要 |
本邦において肝癌に対する生体肝移植が急速に普及しつつある。平成17年からはミラノクライテリアを満たす症例においては保険が適応され、その術前診断は極めて重要である。肝硬変に好発するarterio-portal shuntは画像上しばしば肝癌と鑑別が困難であるが、本研究において平成16年度に、一つの病変を同時に3方向から観察するソフトを開発し、arterio-portal shuntと肝癌の鑑別を試みた。対象は肝癌に対する生体肝移植を受けた患者様で、CTの診断能を摘出肝と対比した。患者数は41病変は134個であった。計1cm以上のHCCのsensitivity, positive predictive value, accuracyはそれぞれ.98%、99%,97%という驚異的な数字を。偽陽性はわずかに5病変であり、この内、3例はAP shuntをHCCと誤診した。一方、偽陰性となった病変12結節中、4病変においてHCCをAP shuntと誤診した。この手法を用いることにより、問題のarterio-portal shuntを肝癌と誤診した症例は極めて少なく、非常に有用なソフトと考えられた。一方、我々の擬陽性率4%に対して、他のstudyでは擬陽性は30%であり、MRIIを用いた場合、擬陽性は70%-90%に上るという報告もある。上述の如く、偽陽性多いとミラノクライテリア内の病変をミラノクライテリア外と誤診することがあり、本邦においては保険適応の症例が保険適応外と誤られてしまう可能性が高い。従って、このソフトを用いた偽陽性わずかに4%という数字は非常に大きな意味を持つ。ソフトを改良し、更なる診断能の向上を目指すのが本研究の主目的である。本研究の成果は4^<th> Single topic conference(2005),ECR(2006)(いずれも国際学会)に発表し、現在Radiology誌に投稿中である。
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