研究概要 |
【対象と方法】昨年度開発した21ゲージ細径電極針を用いて、以下の実験を施行した。RFジェネレーターはRadiotherapeutics社製RF2000を用い,roll-off(機器の設定で、凝固中組織インピーダンスをモニタリングし、組織の急激な凝固壊死変化を間接的に疑う組織抵抗が急に上昇した時点のことをいう)するまで凝固した。A.死体ウシ肝を用いて次の条件で設定を行い、得られた凝固範囲を検討した。細経針の電極長が2cm、3cmを作成し、出力10w・生食注入(1ml/分、10分間)ありとして、RFAは10分間または組織抵抗の上昇により出力が5w以下になった時点で終了した。各電極針で得られた凝固壊死範囲(針に垂直な径×針に並行な径)を測定し、比較検討した。B.死体ウシ肝を用い、肝に同時3本電極を各々1cmずつ離して穿刺し通電した。回路は各電極針が並列回路になるようにした。出力を90wに固定し、生食注入速度を各電極針が5ml/minに設定し,得られる凝固範囲(針に垂直な径×針に並行な径)を比較した。A,Bともに生食は通電開始15秒前から注入を開始し10分間注入した。各群5回ずつ施行し、統計学的に有意差検定を行うこととした。 【結果・考察】A:2cm電極針で20×34(mm)、3cm電極針で29×37であった。凝固範囲は電極長を延長した分、針に垂直方向へと有意に拡大した。しかし針と並行方向への有意な拡大は得られず今後の課題となった。B.肝に同時に3本電極針を穿刺した状態での通電は、通電途中で通電エラーが出現し凝固が不可能であった。お互いの電極が干渉し合う可能性や、ウシ肝に穿刺した3本の電極と対極板との距離が近く、また通電開始時より大きな電力を用いており、注入した生理食塩水が通電回路の短絡路を作成してしまった可能性がある。今後は生体ブタ肝での実験や、回路が並列回路とならないようリレースィッチを用いた回路の作成が必要と考える。
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