研究概要 |
昨年度中に行ったRetrospecitveな肺癌に対する三次元放射線治療成績の検討については、初期照射効果ならびに2年生存率、肺の有害事象についてまとめ、Hayakawaらによる第6回世界肺癌学会(バルセロナ、スペイン)での発表に共同演者として、Lung Cancer(49:S307-S308 suppl2,2005)の報告の一部として共著者として成果発表を行った。Prospectiveな検討については、2004年5月から前向きに集積した通常分割法、三次元原体照射および定位照射にて治療した症例の検討を行い、放射線肺臓炎に対する事前予測因子を調査した。その結果、平均肺照射線量、V5,V10,V20,V40などと有害事象の関連では、従来指摘されている以外に明らかな因子が見つからなかったが、慢性呼吸器疾患(慢性気管支炎、肺気腫、シリコーシス)を伴った症例はV20が15%程度でも約50%に症候性の放射線肺臓炎が生じていることを新たに明らかにした(そのうち1例はgrade5となった)。ただし、呼吸機能と症候性放射線肺臓炎の関連はなく、サイトカイン等の因子が症候性肺臓炎の出現に関わっている可能性が推測された。なお、この研究結果は、第64回日本癌学会総会(札幌)および第43回日本癌治療学会総会(名古屋)にて筆頭演者として発表した。また、現在、英文論文にまとめOncology Repに提出している。症候性放射線肺臓炎とV20の関連については、本研究にても重要性が再認識されたためガイドラインワーキンググループの一員として‘放射線治療:EBMの手法による肺癌診療ガイドライン2005年版'で診療上の注意事項として記載し(前版(2003年版)では記載なし)、診療上の検討事項として提案した。
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