研究概要 |
リポソーム化ボロン送達システムとして、DSPC, DPPC,コレステロール及びDSPE-PEGを主な構成物質として用い、逆相蒸発法によって、ボロン化合物であるBSHを封入させたリポソームを調製した。さらに、能動化リガンドとして、トランスフェリン,抗HER2ヒト化モノクローナル抗体,及びRMP-7を用いた。リポソームへの結合には、EDC法と、micelle transfer法を用いた。 Colon26細胞への取り込み実験において、トランスフェリン及び抗HER2ヒト化モノクローナル抗体血清存在下では、micelle transfer法はEDC法に比べて、2.3-2.5倍の内在化効率が示された。一方、血清非存在下ではほとんど差は見られなかった。 トランスフェリンをmicelle transfer法で結合したトランスフェリン結合型BSH封入PEG-リポソームにおいて、DNAポリメラーゼ阻害剤であるBNCT施行時にDNAポリメラーゼ阻害剤であるカフェイン及びアクチノマイシンを併用することにより、BSH溶液、BSH封入、PEG-リポソーム、BSH封入TF-PEGリポソームの各群において、BNCTによる殺細胞効果を有意に増加させることが明らかとなった。 また、予備実験の段階であるがBBBの透過を目的として、B2受容体のリガンドであるRMP-7を結合したPEG-リポソームを調製し、in vivoで脳内ホウ素濃度の向上が認められた。今後、RMP-7とTFや抗HER2ヒト化モノクローナル抗体を組み合わせることで、BBBを透過し、腫瘍選択性があるリポソームの開発を行う予定である。
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