フラットパネルディテクタ(FPD)検出型コーンビームCTの物理特性を評価するにあたり、平成17年度は専用のファントムを作製して画像情報の基礎データを取得し、空間分解能についての検討を行った。ファントムは距離の計測を容易にし誤差を最小限に抑えるため、直方体および円柱形状を基本とした。ファントム内部を水溶性ヨード造影剤(コントロールには生食を使用)で満たした後、FPD検出型コーンビームCT装置にて画像情報を取得するための撮影を行った。水溶性ヨード造影剤の濃度は、350(mgI/ml)、300、150、100、50、10というシリーズ(10-150 mgI/mlは市販品を生理食塩水で希釈)を用いた。得られた画像情報を専用のワークステーションを用いて数学的に容積情報へ再構成した。定性的評価として再構成された画像(閾値設定は一定とした)を描出能について2名の放射線科医が造影剤の濃度別に、《極めて良好に描出-良好に描出-描出不良-極めて描出不良-評価困難》のごとく視覚的に5段階にスコア化することで評価を行った。その結果、150mgl/ml以上の濃度の造影剤において《極めて良好に描出》という評価が得られた。これをもとに300mgI/ml濃度の造影剤の画像情報を定量的評価に適用することとした。方法としては、容積情報より2次元断層画像を再構成した後、付属ソフトウェアにて円柱の距離を計測し、これをファントムの実測値と統計学的に比較することによって精度の評価を行った。その結果、ソフトウェアによる画像の計測値とファントムの実測値との間に明らかな有意差は認められず、FPD検出型コーンビームCTは高い空間分解能を有する撮像系であることが判明した。
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