現在までに、切除例12例、臨床例56例に対しOCTを行い画像解析を行なった。切除例では病理組織標本とOCT画像の比較を行なった。 切除例では、12例全例で正常気管支壁構造を層構造として認識することができ、気管支粘膜や気管支粘膜下層、一部では軟骨や脈管を描出することが可能であった。病理組織標本との比較では、従来の気管支腔内超音波断層法では確認できなかった気管支粘膜や気管支腺構造を描出することが可能であった。また、終末細気管支レベルで観察を行なった7例中7例で、終末細気管支の壁構造と肺胞構造を確認することが可能であった。中心型肺癌3例の観察では、正常気管支で認めた層構造の消失、辺縁不整で内部構造が不均一な腫瘍を観察することが可能であった。 臨床例では、56例中55例で正常気管支壁構造を層構造として認識することが可能であり、終末細気管支レベルで観察を行なった5例中5例で、終末気管支壁と肺胞構造を確認することが可能であった。また中枢気管支に発生した腫瘍病変の観察においては、従来の気管支腔内超音波断層法では観察できなかった病変を確認することが可能であり、粘膜あるいは粘膜下層の非常に浅い部分に発生した腫瘍を明瞭に形態を損なわずに確認することが可能であった。しかし、OCTは観察深度が最大2mmであり腫瘍の厚みが2mm以上となると腫瘍の深達度は確定できなかった。 現在のOCTのシステムでは、気管支腔内超音波断層法で観察できない気管支粘膜面の腫瘍を確認でき、その深達度診断が可能であり、肺胞構造の観察も可能であった。しかし、正常と癌あるいは扁平上皮化生を診断することは困難であり今後さらに病理組織標本とOCT画像め比較を行い検討する必要がある。今後は、気管支腔内超音波断層法で判定困難な気管支粘膜病変の観察や深達度診断、末梢気管支から肺胞構造を確認し肺気腫や末梢小型早期肺癌の観察、生検を行なわなくともOCT画像で組織診断を行なえる(Optical Biopsy)が期待される。
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