研究課題/領域番号 |
16790838
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
脳神経外科学
|
研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
古瀬 元雅 大阪医科大学, 医学部, 非常勤講師 (70340560)
|
研究期間 (年度) |
2004 – 2005
|
研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
|
配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2005年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2004年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
|
キーワード | 脳神経 / 脳冷却 / 脳低温療法 / 選択的脳冷却 / 血管内冷却 / リンゲル液 |
研究概要 |
近年、血管内からの脳低温療法の導入が注目をされている。冷却カテーテルという新しいdeviceの開発とともに、冷却した生理食塩水やリンゲル液を静脈内に投与することで脳低温を導入する方法も行われはじめている。Barnardらは蘇生後低酸素脳症の患者に対し、30ml/kgの量の冷却液を30分間静脈内から投与し、約1.6℃の体温の低下に成功した。われわれは、除水を行うことでさらなる冷却液の投与を可能とし、さらなる冷却効率の向上を図った。 ハイブリッド犬7匹を用いた。リンゲル液を冷却し、左大腿静脈から下大静脈に留置したカテーテルから1ml/kg/minで1時間投与した。右大腿静脈から下大静脈に留置したダブルルーメンカテーテルの一側から脱血し、ダイアライザーで余剰のリンゲル液を除水し、除水後の血液をダブルルーメンカテーテルの対側から返血した。脳低温の維持、復温は行わなかった。 リンゲル液投与1時間後、右脳温は2.7℃、左脳温2.7℃、直腸温2.6℃、中心静脈温2.9℃低下した。リンゲル液投与前後で、血圧、心拍出量に有意な変化は認めなかったが、心拍数は有意に低下した。ヘモグロビン、ヘマトクリットはリンゲル液投与後有意に低下したが、凝固能の延長は認めなかった。脳組織酸素分圧、頚静脈酸素飽和濃度は投与前後で変化を認めなかった。 冷却能力は、除水を行うことで、1.6℃から2.7℃まで上昇した。除水を行ったが、若干の血液希釈を認めた。しかし、心機能には大きな影響を与えるものではなく、心拍数の低下は体温低下の影響が含まれていると思われる。血液希釈があるものの、凝固能の異常を認めず、局所脳、全脳の虚血も認めなかったため、大きな合併症につながるものではないと思われる。今後は、この脳低温の維持、導入方法を確立することが、臨床応用に向けて必要と思われる。
|