研究概要 |
先天性後側弯症ラット(IS strain)を用いて、その原因遺伝子の同定を行った。 (1)レントゲン写真にてISの腰仙移行部でのhomeotic transformation、ならびに腰椎に限局する後側弯症を認めた。Wild(Wistar strain)においてはこの様な変化は認められなかった。 (2)腰仙部の2重染色では、後側弯症の罹患椎において椎体の癒合を認めた。癒合の形態は片側〜腹側全体の癒合まで多岐にわたっていた。 (3)胎児の2重染色標本では腰椎に限局する一次骨化中心の片側(体軸に対して左右)での癒合が認められた。 Axial Skeltonのcharacterizationにはhomeobox geneが強く関与している。腰仙移行部においてその形態を制御しているものに、Hox10と11 paraloguesがある。Hox10 paraloguesは腰椎の胸椎化を抑制し、Hox11 paraloguesは仙椎の腰椎化を抑制しているといわれている。 ISの腰仙移行部にhomeotic transformationが高率で認められることから、同部の椎体におけるHox10と11 paraloguesの発現量をreal-time PCRを用いて確認した。 IS strainとIS/Wistarのhetero、Wistarの3種、P1.5の新生仔を用いた。第1腰椎から数えて6,7,8番目の椎体を採取し、mRNAを抽出、比較検討した。 (4)IS、HeteroにおいてHox c10,d10,a11,d11の発現量が優位に低下していた。 このことから、ISの腰仙移行部においてhomeoboxの一部の発現が変化し、それがISにおける脊椎異常に関与している可能性が示唆された。
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