研究概要 |
DHT-CXCL12存在下におけるLNCaPの腫瘍悪性化ならびに転移に関連する細胞機能の変化確認を以下の観点から行った。 (1)細胞増殖:アンドロゲンとしてDHT(dehydrotestosterone)存在下(10〜-8M)、非存在下でのCXCL12(0,1,10,100nM)による細胞増殖の確認 吸光度をMMT assayを用いて検討を行ったところLNCaP増殖に対するDHT指摘濃度は10^<-9>M付近と思われた。細胞増殖はDHT非存在下に比べDHT存在下で増加したが、それぞれの環境下におけるCXCL12による細胞増殖の変化は明らかではなかった。 (2)遊走能:DHT存在下(10〜-8M)、非存在下でのCXCL12(0,1,10,100nM)による細胞遊走の確認 遊走能はDHT存在下に比べ存在下で増加したが、それぞれの環境下におけるCXCL12による遊走能の変化は明らかではなかった。 (3)現在細胞接着の検討に入る前にLNCaPにおけるインテグリンの発現をα2,α3,α4,α6,β1,β4について検討を行っている。 インテグリンα3,およびα6の発現はDHT(14時間接触)存在の有無に関わらずCXCL12存在下で低下していた。 アンドロゲン受容体を常に発現しているヒト前立腺癌細胞株LNCaPにおいてDHT存在、非存在下でmRNAレベルで発現に差のみられたCXCR4受容体をそのリガンドであるケモカインCXCL12で刺激してみた。しかし細胞のfunctionを評価するべく施行した細胞増殖および細胞遊走能の検討ではDHT刺激群、非刺激群の両群ともCXCL12刺激によるfunctionの差を認めなかった。LNCaPの機能に与える影響としてDHTのほうがCXCL12に比べ強すぎる可能性が考えられたが刺激濃度や接触時間の変更を行うなど今後より詳細な検討が必要ではないかと考えられた。
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