研究概要 |
幼若SD系ラットにeCG 15IU投与後48時間目にdenuded oocyteを分離し、S-nitroso-L-acetyl penicillamine (SNAP ; NO donor) 500μMを含む培養液中で培養し、cdc2をELISA法にて経時的に測定した。SNAPの存在下では有意にGVBDが遅延し、同時にcdc2活性はcontrol群に比し有意に活性が抑制された。 次にSNAPを添加した培養液中でdenuded oocyteを培養した。培養後のoocyte 100個からタンパクを抽出し、SNAP添加の有無でMAPK、phosphorylated MAPKの発現の変化をwestern blotting法を用いて比較解析した。MAPKはすべての培養時間において発現が認められたが、pMAPKは6時間目より発現が認められ、その発現は12時間まで増加した。 さらにoocyteをSNAPを添加培養し、2,4,6,8,10時間目に各群oocyte 100個をそれぞれ回収し、タンパクを抽出した。cdc25C抗体を用いて、western blottingを行ったところ、controlにおいては2時間目より発現が認められたが、4時間目には発現低下し、6,8時間目には再び発現が上昇した。SNAP添加群でも同様の変化を示したが、変化が遅延する傾向が認められた。 以上の結果からNOはcdc2活性を抑制し、卵核成熟を抑制することが明かとなった。NOによるcdc2活性の抑制にはcdc25Cの抑制を介する経路があることが示唆された。一方、in vitroでGVBDは培養開始後約2時間後から起こってくるのに対し、pMAPK発現は6時間以前では認められないことから、ラットの卵核成熟にMAPKは関与していないものと考えられた。
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