子宮体癌を表出する分子的メカニズムを解析するために、まず子宮体癌・正常子宮内膜の新鮮凍結標本から抽出したRNAを使用し、改良型Serial Analysis of Gene Expression(SAGE)法によって、各11000個以上のmRNAを解析、遺伝子発現プロフィールを作製した。従来のSAGE法では、各mRNAから14bpの配列の情報しか得られなかったが、この改良型SAGE法では4bp長い18bpの長さを持った遺伝子配列の出現頻度のリストが作製できることにより、2次スクリーニングをより正確なものにすることができる。 改良型SAGE法の結果をコンピューター解析し、子宮体癌・正常子宮内膜の遺伝子発現プロフィールを作製し比較した。その上で、2つの組織間で発現量に大きな差のある遺伝子配列約100個を拾い上げ、データベースで検察をして表出する遺伝子確認した後、不適当なものを除いた約40個を、候補遺伝子配列とした。 2次スクリーニングとして、まず子宮体癌・正常子宮内膜、各5検体の組織それぞれからmRNAを抽出した。約40個の候補遺伝子配列のプライマーセットをそれぞれ作製し、もっとも効率のよいプライマーセットを選択した。そのプライマーセットを使用しSYBR Greenの蛍光をモニターすることで、real-time quantitative RT-PCRを約40回行った。結果から、子宮体癌・正常子宮内膜組織でそれぞれ更に明らかに発現量の差のある候補遺伝子のみを選び出し、それを2次スクリーニング後の候補遺伝子とした。しかし、この際に正常内膜で月経周期に関して、発現遺伝子に差異が生じていることが解った。 現在、さらに正常内膜組織を、月経周期毎に区分けし、それらをコントロールとして子宮体癌の多検体を用いて、real-time quantitative RT-PCRによる3次スクリーニングを行い、子宮体癌の発現の関連する遺伝子を検索している。
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