研究課題/領域番号 |
16791083
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
小児外科学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
木下 義晶 九州大学, 大学病院, 助手 (80345529)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2005年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2004年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | ウィルムス腫瘍 / βカテニン / WT1遺伝子 / ウイルムス腫瘍 / β-カテニン |
研究概要 |
β-カテニンのoncogenesisへの関与は小児悪性腫瘍においては近年、肝芽腫の発生に強く関与する報告がなされている。肝芽種の約50%の症例においてβ-カテニンの変異が検出されており、その発生への関与が示唆されている。しかし他の小児固形悪性腫瘍へのβ-カテニンの関与は今のところ不明である。ウイルムス腫瘍の発生にはWT1遺伝子異常が関与するとされてきたが、その頻度は10%程度であり、oncogenesisにどのように関わっているかの詳細は未だ不明である。近年、β-カテニンもウイルムス腫瘍に15%程度の頻度で異常を認めるとされており、本研究ではβ-カテニン遺伝子とWT1遺伝子のウイルムス腫瘍の発生ならびに発育における関与を明らかにすることを目的とした。1964年より2005年の間に九州大学小児外科教室において経験されたウィルムス腫瘍40例を対象とし、免疫組織学的にβ-カテニン、WT1遺伝子の発現を検討した。β-カテニンについては細胞膜に陽性を示したものが38例(100.0%)、細胞質に陽性を示したものが35例(92.1%)、核内移行を示したものが9例(23.7%)であった。組織型別での陽性率は腎芽型成分に35例(92.1%)、上皮型細胞成分に12例(31.6%)、問葉型成分には2例(5.3%)の陽性率であった。WT1については細胞質に陽性を示したものが30例(79.0%)、核内移行を示したものが22例(57.9%)であり、組織型別での陽性率は、腎芽型細胞成分に21例(55.2%)、上皮型細胞成分に14例(36.8%)、間葉成分には3例(7.9%)の陽性率であった。β-カテニンにて核内移行を示した9例は全例WT1にても核内移行を示した。さらに組織内におけるDNAの発現と変異を調べるためにMicrodissectionにてこれらのパラフィン標本より組織型別にDNAを抽出し、検出されたDNAをSequencerを用いてdirect sequenceを行った。しかしqualityの高いDNAを得ることができず、有意な結果を得ることはできなかった。以上よりウィルムス腫瘍におけるβ-カテニン、WT1遺伝子のoncogenesisへの関与に関しては免疫組織学的検討により同時に核内移行を示す約20%の症例において何らかの関与があることが示唆された。
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