研究課題/領域番号 |
16791109
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
形態系基礎歯科学
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
村上 圭史 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (10335804)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2005年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2004年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | 緑膿菌 / 抗菌薬抵抗性 / 付着 / pslオペロン |
研究概要 |
薬剤耐性と異なり、抗菌薬存在下で増殖はできないものの、細菌は死滅しておらず生き残ることができる現象である、抗菌薬抵抗性という現象は、これまであまり注目されることは少なかったが、近年、バイオフィルム感染症の難治化の理由としてこの現象が着目されつつある。しかしながらそのメカニズムについては、不明な点が多い。 我々は、これまでにバイオフィルム形成以前の、固層に付着しただけの細菌が既に、抗菌薬に対し抵抗性を示すことを明らかとし、緑膿菌において、付着による抵抗性に関与する遺伝子を見出し、bta遺伝子と命名した。その後、Jacksonらにより、バイオフィルム形成に関与する、新たな遺伝子クラスターpslオペロンが発見され、bta遺伝子もそのオペロンに含まれることが示唆され、pslL遺伝子と名付けられた。しかしながら、その機能は全く分かっていない。そこで、pslオペロンの最初の遺伝子である、pslA遺伝子と、pslL遺伝子について解析を行った。 リアルタイムPCRによりmRNAの発現量を解析した結果、37℃で振とう培養したところ、4時間後、発現量はピークを迎え、その後減少した後、再び緩やかに増加していった。また、付着による遺伝子発現への影響を検討したところ、浮遊菌に比べ、付着菌では、pslA遺伝子は約12倍、pslL遺伝子は6.7倍、遺伝子発現が上昇していた。また、浮遊菌において、ビアペネムを添加したところ、添加2時間後に、pslA遺伝子は約3倍、pslL遺伝子は約2倍、遺伝子発現が上昇していた。 これの結果より、pslオペロンは、バイオフィルム形成に関与しているだけでなく、付着などの環境変化や、抗菌薬添加により遺伝子発現が誘導され、ストレス反応に関与し、抗菌薬抵抗性に関係していることが強く示唆された。このpslオペロンは、緑膿菌感染症に対する治療において、新たな薬剤のターゲットになり得る可能性が示されたものと考えられる。
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