研究概要 |
ヒトの歯の形・歯数は,歯の退縮により成立ち,なおかつ退縮傾向にあるとされている。 本研究はヒトを始めとする哺乳類の歯の成立・進化を明らかにするために原始的哺乳類であり発生過程で退化消失する歯胚が報告されているスンクスの歯を発生学的に検索とした。 昨年度までの結果は次のとおりである(日本大学松戸歯学部実験動物倫理委員会の承認)。 1.スンクスを飼育し,各胎齢の頭部をPLP固定液およびホルマリン溶液にて灌流または浸漬固定し,H・E重染色を施し,三次元立体構築用のパラフィン連続切片を作製した。 2.初期発生段階である歯堤の陥入開始時期の胎児試料の口腔粘膜と歯堤・歯胚をコンピュータに取り込み,三次元立体構築ソフト(OZ 3D Reconstruct System ライズ株式会社)を用いて歯胚列を三次元的に復元し再構築した。 3.三次元的復元した歯胚列から,第一および第二生歯の歯胚の形態変化を初期胎児で明らかにした。 最終年度である本年度は以下の点を検索し,歯胚退縮機構の解明を進めた。 1.残りの代生歯形成までの胎齢の胎児試料から連続切片を作製し,三次元立体構築を行い,形態学的に発生段階の変化を検索した。 2.歯胚原基の分化と退縮に関わる細胞の分布や変化,歯胚周囲の間葉系細胞の分化を,TUNEL法やその他(TGFβ,PCNA, CKI4等)の免疫組織学的・免疫細胞学的方法から検索し,立体構築像に分布をまとめ,発生段階による変化を明らかにした。 3.作製した立体構築像や三次元的分布図から,第一および第二生歯の歯胚の関係,発生学的・形態学的免疫組織細胞学的に歯胚の退縮機構の解明の手がかりとした。
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