研究概要 |
Telomeraseは悪性腫瘍の85〜95%に癌特異的に認められると報告されている。我々はすでに頭頚部悪性腫瘍においてTelomerase活性の存在を報告し(Miyoshi et al. Asian Journal of Oral and Maxillofacial Surgery"14 : (1),28~34, 2002. Miyoshi et al. Eur.J.Cancer35 : 283-289, 1999)、またヒト頭頚部領域原発の前癌病変組織においてTelomeraseが活性化している癌の組織はハイリスク群であり、スクリーニングとして有用であるという成果を得ている。一方、このTelomerase活性をつかさどるTelomerase関連遺伝子(hTERT)は、実際の癌診断および癌治療に有用なターゲットとして注目されるようになってきた。我々は、最近ある程度のレチノイン酸の組み合わせたものがhTERT遺伝子の転写抑制を介してTelomerase活性を抑制することを報告し(日本癌学会, 2000)さらにTelomerase阻害剤(AZT・EGCG・SMT-312など)による口腔悪性腫瘍への癌治療法の基礎研究を検討している。そこで今回これをヒト頭頚部悪性腫瘍の有用な新しい癌診断と治療法にすべく既知・未知を含めたTelomerase活性抑制法やTelomerase活性阻害剤の頭頚部癌に対する作用を検討した。これらの薬剤などによる口腔癌細胞の変化やTelomerase活性の発現強度や関連する各種遺伝子の変化を調べることを目的として、ヒトTelomerase逆転写酵素hTERT(human telomerase reverse transcriptase)・ヒトTelomerase付属蛋白質hTRF1/2(human telomerase repeat binding facter1/2)アポトーシス関連遺伝子(p53遺伝子・bc1-2遺伝子)の発現をRT-PCR法にて発現を検討した。 ・リアルタイムPCR(Roche)を用いてhTERTを定量した。 ・PCR-プライマーエクステンションによるTelomeric repeat amplification protocol(TRAP)assay法でTelomerase活性を測定した。 3.同上の組織からin situでのPCRによるin situ TRAP法を行いTelomerase活性の細胞レベルでの発現の有無を調べた。 4.免疫組織染色やフローサイトメトリーにより細胞増殖率や細胞周期を測定した。さらにマイクロダイゼクションを用い特定細胞を比較検討した。 5.口腔腫揚細胞を用いてTelomerase逆転写酵素阻害剤(AZT・EGCG・SMT-312など)やアンチセンス(TERT発現ベクターの変異導.入・p53遺伝子発現ベクターの変異導入など)の細胞内導入を試み、細胞増殖やTelomerase活性の発現の変化を検討した。
|