研究課題/領域番号 |
16791123
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
機能系基礎歯科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
平賀 徹 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (70322170)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2005年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2004年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 乳癌 / 骨転移 / シクロオキシゲナーゼ-2 |
研究概要 |
本研究では、乳癌細胞におけるシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)の発現と骨転移との関連を解明することを目的に検討を行い、昨年度までに、(1)ヒト骨転移巣では高率にCOX-2の発現を認めること、(2)乳癌細胞においてTGFβがCOX-2の発現を誘導し、破骨細胞形成の促進に関与すること、(3)COX-2の発現が乳癌の悪性度と関連することなどを明らかにした。本年度は、これらの所見をin vivoで検証するために、以下の検討を行った。 1.TGFβにより誘導されるCOX-2発現の骨転移形成に対する作用 骨基質由来TGFβの作用をin vivoで検討するために、ドミナントネガティブ型TGFβ受容体を過剰発現する乳癌細胞株を樹立した。この細胞にin vitroでTGFβを作用させたところ、COX-2の発現誘導が著明に抑制された。さらに、マウス骨転移モデルを用い骨転移形成能について検討した結果、有意な減少が認められ、破骨細胞数も有意に減少していた。また、免疫組織化学的検討では、乳癌細胞におけるCOX-2発現の減少が認められた。 2.選択的COX-2阻害薬の骨転移に対する効果 選択的COX-2阻害薬の作用について、マウス骨転移モデルを用い検討した結果、骨転移形成を有意に抑制することが示された。また、破骨細胞数の減少、及び乳癌細胞のアポトーシスの増加が認められた。 以上、本研究の結果から、破骨細胞性骨吸収に伴い骨微小環境中に放出される骨基質由来のTGFβが乳癌細胞および骨芽細胞に作用し、COX-2の発現誘導、PGE2の産生増加を介し破骨細脂性骨吸収を亢進させることにより乳癌細胞と破骨細胞との間の悪循環サイクルを形成し、骨転移の進展に関与することが示唆された。また、選択的COX-2阻害薬によりこの悪循環サイクルを遮断することが、骨転移に対する有効な治療法となる可能性が示唆された。
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