研究概要 |
1,CD2架橋刺激NK細胞におけるLAT結合細胞内シグナル伝達物質についての検討. NK3.3細胞をpolystyrene beadsに固相化したCD2抗体により架橋刺激した.細胞を可溶化し、得られた可溶化タンパクを各種抗体(LAT, PI3-K, Grb2、PLC-γ)にて免疫沈降をい細胞内タンパクのチロシンリン酸化状態を検出した.その結果P85 PI3-kinaseとLAT、 Grb2とLAT、 PLC-γとLATとの結合はCD2架橋刺激依存性であることが認められた.2.NK細胞による標的細胞殺傷能におけるLipid raftsの影響についての検討.NK3.3にコレステロールを除去しLipid raftsを破壊するMethyl-β-cyclodextrin(MβCD)を反応させた.次に、標的細胞としてK562を用いCD2刺激NK3.3による細胞傷害実験をおこなった.その結果MβCDの濃度依存性にNK3.3の標的細胞殺傷能は抑制された.3.NK3.3細胞におけるCXCL12刺激によるMMP-1発現の 検討.NK 3.3細胞にCXCL 12(5ng/m1)を加えて5%CO2、37℃で24時間培養した.培養終了後上清を5倍に濃縮し、濃縮した上清中のMMP-1を抗MMP-1抗体を用いたWestern blotting法により検出した.その結果CXCL12刺激によりMMP-1が分泌されることを確認した.以上の結果とこれまでの結果より,CD2架橋刺激によりNK細胞が活性化されLATがP85PI3-kinase、 Grb2とPLC-γ等と結合して標的細胞殺傷の活性化シグナルを伝達していくことが明らかになった.また、標的細胞殺傷能には細胞膜上のLipid raftsの存在が重要であることが示唆された.さらに、 NK細胞の炎症組織への浸潤にCXCL12刺激によるMMP-1の分泌が関与している可能性が示唆された.
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