研究概要 |
平成16年度において本測定システムが、口腔内での測定に十分な性能を有していることを示した。本年度は、実際に被験者13名について、被験歯として修復物の存在しない上顎第一小臼歯を選択し、咬頭嵌合位での咬みしめ時と咬合接触状態を変化させた時の歯の頬側面の変形量と咬合力の測定を行った。 1.咬合力負荷に際しては,被験咬頭と下顎のオクルーザルテーブルの間にロードセルを介在させて歯の変形と咬合力との同時測定を行った.咬合力100Nあたりに換算して、左側第一小臼歯頬側咬頭負荷時は-173nm,舌側咬頭負荷時36nm,右側第一小臼歯頬側咬頭負荷時は-168、舌側咬頭負荷時31nmの変形量であった.頬側咬頭負荷時では短縮し、舌側咬頭では伸張する傾向にあった。 2.同一被験歯を対象に咬頭嵌合位最大噛みしめを行い歯の変形量と被験側咬筋RMS筋電図との同時測定を行った.咬筋筋電図は被験側咬筋中央部より表面電極を筋線維の走行と平行に電極間距離を20mmに規定して導出した.被験歯噛みしめ時の最大変形量の中央値は、左側第一小臼歯は-7nm,右側第一小臼歯では-5nmの変形量であった. 3.被験者のひとりにおいて、歯問にコンタクトゲージを介在させた時の歯の変形量の測定も行った。緑のコンタクトゲージ(50μm)で、一回目31nm、最大41nm、2回目14nm、最大23nmであった。黄色コンタクトゲージ(μm)介在時は、17nm、最大22nmであった。 本研究において、実際に口腔内にて咬合状態が異なる条件下における歯の変形量を測定することが出来た。現時点では、咬合接触状態によって歯の変形量は様々であるが、さらに多くのデータを収集することで適切な数値を導くことが可能であり、歯に負担の少ないより適切な咬合調整やコンタクト調整の一助となりうることが期待できる。
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