研究概要 |
本研究の目的は,インプラント補綴患者の顎運動測定を行うと同時に,オトガイ孔後方部に埋入された臼歯部インプラント間の幅径変化および狭窄力を測定し,下顎骨狭窄のメカニズムとフィクスチャーの動態を解析することによって,オッセオインテグレーション喪失との関連性を解明することである. 本研究では、下顎左右側第一大臼歯部にブローネマルクインプラントを各1本(下顎左側第一大臼歯にはブローネマルクインプラントMark III 18mm,下顎右側第一大臼歯にはブローネマルクインプラントMark III 15mm)埋入し,同部を除いて天然歯を有する患者を被験者として選択した.まず,被験者のインプラント作業用模型歯列上に弾線を屈曲させて,レプリカ上に装着したゴールドシリンダーと弾線の両端を連結し,弾線の中央部にストレンゲージを接着させて歪み計を製作した.製作した歪み計を左右側インプラントのアバットメントに連結して,歪み測定と同時に,下顎切歯点における機能運動をナソヘキサグラフ(小野測器社製:現有)にて測定し,統計学的解析を行った.被験運動は,最大開閉口運動,前方滑走運動,左右側側方滑走運動,中程度の開閉口運動であった.その結果,左右側インプラント間における幅径変化量の最大値と平均値は,最大開閉口運動では22.5μm,16.7±2.3μm,前方滑走運動では58.9μm,47.2±10.3μm,左側方滑走運動では13.8μm,12.4±1.4μm,右側方滑走運動では11.4μm,9.9±0.7μm,中程度の開閉口運動では21.6μm,5.5±5.8μmであった.また,幅径変化量は前方滑走運動,最大開口運動(16.7±2.3μm),左側方滑走運動(12.4±3.3μm),右側方滑走運動(9.9±0.7μm),中程度の開閉口運動(5.5±5.8μm)の順で大きかった(Mann-Whitney U test).
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