研究概要 |
生体内分解性材料であるポリ乳酸の材料学的特性をいかし,歯科領域で臨床応用していくために材料の多様化が必要である.本研究ではポリ乳酸フィルムをアルカリ加水分解することにより表面にカルボキシル基を導入し,その後、脱水縮合剤を用いて細胞接着タンパクであるフィブロネクチンを固定化した.生分解性高分子材料に生理活性が付与できれば臨床での応用が期待できる. 本研究では,ポリ乳酸フィルムをアルカリ加水分解することにより表面にカルボキシル基を導入し,その後,脱水縮合剤を表面に細胞接着性タンパク質を固定化した材料を新たに合成し,その評価を行った. 作製したポリ乳酸フィルムを0.5N NaOH水溶液に0.5,1,3または5時間浸漬してアルカリ処理することによってフィルム表面にカルボキシル基を導入した.カルボキシル基の導入は純水に対する接触角の測定によって確認した.次に,0.1%wt 1-(3-ジメチルアミノプロフィル)-3-エチルカルボジイミド(水溶性脱水縮合剤,Sigma)を含有したMESバッファーにカルボキシル基導入ポリ乳酸を24時間浸漬した.その後,この試料を0.5wt%フィブロネクチン含有MESバッファーに48時間浸漬して,ポリ乳酸表面にフィブロネクチンを固定化した. 以上の結果からポリ乳酸フィルムをNaOH処理し,その後脱水縮合剤を用いることによって細胞接着タンパク質であるフィブロネクチンがポリ乳酸に固定化できることが判明した.
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