研究課題/領域番号 |
16791255
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
外科系歯学
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研究機関 | 明海大学 |
研究代表者 |
荻原 孝子 明海大学, 歯学部, 助手 (30337505)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2006年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2005年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2004年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | フェノール化合物 / Ferulic Acid / Natural products / COX-2 / フェノール作用 / BHA / 転写因子 / OH基解離エンタルピー / アルキルフェノール / メトキシフェノール / 細胞毒性 / COX-2発現 / アポトーシス誘導 / NO産生 / RAW264.7細胞 / LPS / iNOS |
研究概要 |
歯科用薬物として古くから使用されているフェノール化合物は抗菌作用、抗炎症作用があることが知られている。また最近、カレーの香料であるcurcumin、クローバー油のeugenol、緑茶のcatechinなどの植物フェノールの抗酸化作用も注目を集めている。この知見は植物フェノールなどのnatural productsが著明な抗炎症作用や白板症などの前癌病変の発癌予防作用を有している可能性を示唆した。そこで私は昨年度の研究で、米糠フェノールであるferulic acidとその二量体bis-ferulic acid、異性体isoferulic acidを使用して細菌リボ多糖体(LPS)刺激で誘導され、炎症や発癌に密接に関連していると考えられているcyclooxygenase-2(COX-2)の調節作用について検討した。その結果、これらのフェノール化合物のLPS誘導性COX-2発現の調節作用はその構造特異性に基づく、いわゆるフェノール作用に起因している可能性を示唆した。しかし、その詳細なメカニズムの解明には構造-遺伝子転写制御に関するさらなる検討が必要と考えられた。ゆえに、今年度の研究で合成メトキシフェノール化合物であるbutylated hydroxyanisole(BHA)とその二量体であるbis-BHAを使用してCOX-2発現の調節作用について検討した。刺激物は、歯周病原細菌の菌体表面に有する線毛を使用して歯周病の薬物療法の可能性についても併せて考察した。BHA(東京化成社)、bis-BHA(単量体から合成)を使用した。Porphyromonas gingivalis線毛は菌体洗浄後、陰イオンカラムクロマトグラフィにて精製した。COX-2発現はNorthern blot法で検討した。転写因子活性化はAP-1結合配列をLuciferase遺伝子に結合させたプラスミドを試験細胞にトランスフェクションしてその活性度を測定するルシフェラーゼレポーターアッセイで検討した。線毛刺激COX-2発現は二量体であるbis-BHAで著明に抑制された。しかし単量体では抑制されなかった。この抑制作用は転写因子AP-1やNF-κBの活性化抑制に起因していた。また、bis-BHAは中等度のフェノール性OH基解離エンタルピー(BDE)を持っていた。今年度の研究結果から、フェノール関連化合物の抗炎症作用はその構造特異性に基づく、いわゆるフェノール作用に起因している可能性が判明し、またその薬理作用が実際の歯科臨床の炎症性疾患においても有用であることの知見を得た。
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