研究概要 |
本研究最終年度につき、研究結果の概要を以下に示す。研究プロトコールの詳細は昨年度以前に記載につき割愛する。 分析対象人数:介入群17名、対照群13名(脱落、データ不備者除く) 平均年齢:介入群61.8歳、対照群58.5歳 抗菌歯周治療後の血清濃度変化量の一覧(0M-2M-4M:observation,4M-7M:maintenance,M:month) 1、アディポネクチン(μg/ml) 介入群:0.28/0M,1.15/2M,0.54/4M,0.01/7M 対照群:-2.98/0M,-1.8/2M,-2.23/4M,-1.73/7M 2、レプチン(ng/ml) 介入群:-0.18/0M,-0.20/2M,-0.17/4M,-0.50/7M 対照群:0.01/0M,-0.46/2M,-0.55/4M,-0.14/7M 3、高感度CRP(mg/dl) 介入群:-0.04/0M,-0.05/2M,-0.01/4M,-0.05/7M 対照群:0.62/0M,0.08/2M,0.00/4M,0.01/7M 4、高感度TNF-α(pg/ml) 介入群:-0.33/0M,1.41/2M,0.33/4M,1.58/7M 対照群:2.3/0M,-1.1/2M,1.3/4M,0.1/7M 抗菌歯周治療後から4ヶ月をobservation periodとして2ヶ月毎に採血のみ実施し、治療後4ヶ月から7ヶ月はmaintenance periodとして歯周メインテナンスセラピー2回を行い、採血を実施した。介入群の結果をみると、アディポネクチンは、抗菌歯周治療により血清中の濃度増加を認め、治療2ヶ月後にピーク値を示した。しかしながら歯周メインテナンスによる抗菌歯周治療の長期的な効果は7ヵ月において治療前の値近くに低下した。レプチンと高感度CRPは、抗菌歯周治療により濃度低下を認め、歯周メインテナンスにより低濃度の持続が確認された。高感度TNF-αは、抗菌歯周治療直後に低下を示したが、治療2ヶ月後において増加を認め、以降も治療前の値を上回った。本研究は長期にわたる臨床介入研究のため、必然的に病態が比較的安定している患者が対象者であり、また喫煙や糖尿病以外の疾患などいわゆるConfounding factorを厳密にコントロールすることが困難であったなどの制約があるが、アディポネクチンをインシュリン抵抗性の改善指標に用いた点は先駆的な試みであり、抗菌歯周治療の長期有用性の解明に一定の貢献を示した。 本研究結果は、第84回および85回International Association for Dental Research(開催国:オーストラリア、アメリカ)において学術発表を行った。
|