研究概要 |
今年度は本研究の最終目的である,運動療法とアロマセラピーの併用による更年期不定愁訴の改善効果を検討した。 更年期症状を有する中年期女性13人(52.9±6.9歳,Mean±SD)を,精油による芳香を実施する群(アロマ群)6人と,ルームフレグランスによる芳香を実施する群(プラセボ群)の7人に振り分けた。併用療法は,両群ともに心拍数予備量(HR reserve : HRR)の40%未満に相当する低強度の有酸素運動を主とする運動プログラムを週2回12週間(計24回)実施し,毎回の運動プログラム後に芳香療法を実施した。併用療法開始前と12週間後に,更年期障害指数,心理学的指標(POMS, SUBI),形態(BMI,%fat),安静時の循環動態(心拍数,収縮期血圧,拡張期血圧),体力(筋力,柔軟性,全身持久力),及び血液データ(FSH, LH, E_2,中性脂肪)の測定を行い,効果判定を行った。 その結果,更年期障害指数の「不眠」でアロマ群が12週後に有意な低下を認め,「全身倦怠感」がアロマ群,プラセボ群共に有意に低下または低下する傾向を認めた。形態では,%fatが両群ともに有意な改善を認め,BMIはプラセボ群で有意な改善を認めた。体力では,両群共に安静時乳酸値が有意に低下し,反復横とびではアロマ群,踏み台昇降直後の心拍数ではプラセボ群が有意に改善した。しかし,心理学的指標および血液データでは有意な改善を認めなかった。 以上のことから,運動とアロマセラピーの併用療法を継続することにより,更年期症状全般の改善効果は認められなかったものの,不眠の改善効果が示唆された。
|