研究概要 |
慢性的な痛みを抱える患者への看護のあり方を考えていく上での手がかりとするために、森田療法的接近法を用いた精神集団療法に参加経験のある慢性疼痛患者に対し看護援助方法として、本人が独自に用いる対処方法を理解しその方法を受け止めてかかわること、個別に用いている具体的対処方法を患者教育及び実践的ケアに用いることなどが前年度の研究から明らかになった。 これを受けて、個別に用いる対処方法の一つとして、リラクセーション効果が得られるキャリアオイルを用いたハンドマッサージを慢性疼痛患者とその家族に試みた。慢性疼痛患者6名の痛みと気分の変化、家族3名の気分の変化をそれぞれVASスケールにて実施前後で比較した。キャリアオイルを用いたハンドマッサージ前の患者本人の痛みの平均VAS78.8mm,気分65mmであり、実施後痛みはVAS-7.8mm,気分VAS-17.1mmとそれぞれ改善が見られた。家族の気分も、実施前のVAS75mm、実施後はVAS-13mmと改善が見られた。慢性疼痛患者の痛みは完全にとりのぞかれることは無いが、概ねリラックス効果は得られていた。手指のむくみ感の軽減や眠気を誘うなどの言動から、疼痛の部位にかかわらずオイルを用いたハンドマッサージによる疼痛や気分の改善は期待できる。慢性疼痛患者とその家族に対する、看護介入プログラムを検討するための一つの示唆を得た。
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