研究概要 |
平成18年度は,昨年度に判明した身体拘束廃止推進会議が設置されている全国都道府県のうち,41の都道府県の行政担当者と民間担当者各1名,計82名を対象に身体拘束相談活動の現況を明らかにする目的で質問紙調査を行った。行政17地域,民間16地域の回答を解析した。回収の低下は,地域包括センターが総合相談窓口を開設する際に業務移譲が行なわれた時期と本調査時期が重なったことも一因である。調査項目(相談窓口の設置期間・運営人数,職種・相談件数・内容・支援方法)毎に分類した。設置期間は1年未満〜5年8ヶ月,運営人数1名〜20名,職種は看護職と介護職の2職種構成が11件と最も多かった。1名の行政担当者で運営中の地域は電話相談のみの支援だった。20名で運営中の地域は介護福祉士・社会福祉士・医師・理学療法士・看護師による多職種構成で,電話相談に加えて講義やグループワーク,相談先へ派遣指導を組み合わせた支援を用いて民間担当者と行政担当者間で連携をとりながら相談活動を継続していた。一方,運営人数が少ない5地域は相談活動を中止しており,連携状況や相談体制後の評価も不明だった。相談内容の上位項目は4点ベッド柵使用14件(88.8%),車いす安全ベルト使用9件(56.0%),ミトン7件(44.0%)だった。過去4年間の合計相談件数は5件〜102件だった。活動状況の評価として,行政・民間の両者とも概ね「効果あり」と判断していた。しかし,さまざまな相談に応えるためにも,身体拘束廃止に対する効果的な相談体制の構築には,多職種による構成を行うこと,遠隔支援型である電話相談に限らず直接支援型である派遣による指導,講演会やグループワークによる知識共有ならびに情報交換の場の提供という支援方策の重要性が示唆された。
|