研究概要 |
本研究の目的は,終末期認知症高齢者の「緩和口腔ケア」確立に向けたケアプランの検討を行うことにある.本年度は療養型病床および高齢者の多い病棟において「緩和口腔ケア研修会」を実施した.研修会では口腔内の観察方法,症状緩和のためのケアプラン立案について看護・介護職とともに検討した.研修会では特徴的な事例が5事例だされ,その事例の検討を行いながら,事例の経過を追った. 対象病棟のケア困難事例対象者は,認知症があり,時々車椅子に移乗し散歩することはあっても日中の殆どをベッド上で過ごしている状態であった.口腔乾燥,開口困難,歯周病による歯牙崩壊など様々な口腔内の問題を抱えていたが,いずれの事例も歯科医などの専門的介入は行われていなかった.研修会でケア方法の演習を行ったことで,看護・介護職の口腔アセスメントの知識・技術は向上し,専門的な介入の必要性が認識できるようになった.研修会を経て,開口困難事例のケアは容易になり,口臭が少なくなるなど効果がみとめられた. 「緩和口腔ケア」定着のためには,看護・介護職が共通言語で理解し合えるように,合同の研修会開催が不可欠であると考える.また,ケアプランは計画するだけではなく,実施しその結果を持ち寄りチームでディスカッションすることがその後のケアの定着に大きく影響することがわかった.ケアの実施・評価を研修会として行うことで,次へ繋がるアイディアを創造することができた.今後さらに研修会の内容を整えながら,口腔内の症状緩和に関する事例の蓄積を行いたい.
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