研究課題
特別研究促進費
予備調査(2005年1月29日〜2月6日):スリランカ・イコモス国内委員会と調査内容について打ち合わせ、南岸のベルワラからハンバントタまで200kmの津波被災状況を目視調査し、本調査候補地をマータラ市街及びその近郊に特定した。共同研究を行うルフナ大学のスタッフと作業分担について打ち合わせた。本調査(2005年3月10日〜26日):マータラ市旧市街および近隣街区で被災調査を実施した。ルフナ大学およびスリランカ側専門家を含め、全体を、建築調査班A・B、街区調査班、GIS班に分けた。建築調査班は、18世紀以降の歴史的建築物計50棟の現状を記録し、うち11棟については詳細な図面作成のための実測を行なった。建築調査班Aでは調査活動を優先し、同Bではスリランカ側との共同作業による調査技術の指導・教育に重点を置いた。実測調査と並行して、スリランカ側研究者を中心に、津波被害に関する居住者への聞き取り調査も実施した。日本側の保存科学研究者は、建築班と共に、被災した歴史的建築物の構法、材料特性を調査・記録した。街区調査班は、マータラ市街の中心街路クマワウンガ・マワタの現状記録を進め、歴史的脈絡に沿った再開発に向けた提案作成の基礎資料を整備した。GIS班は、城壁内の主要街路および微地形の実測を行ない、併せて代表的な歴史的建築物の立面実測に協力した。調査最終日にコロンボで、スリランカ政府都市建設大臣を招いて公開報告会を開催し、調査成果を報告すると共に、前日までに整理した画像資料等をパネルとして展示した。スリランカ側は調査成果を高く評価し、今後、より長期的な共同研究と人材交流を図ることになった。