研究実績の概要 |
研究者らはこれまでにアルカリ金属及びアルカリ土類金属のなかでも大きいイオン半径を有するRbとCsをβゼオライトにイオン交換法で担持したRb/βおよびCs/β触媒が、触媒反応の中でも困難な反応とされるベンゼンのフェノールへの直接酸化反応を、N2Oを酸化剤として用いることで高選択的に高い転化率をもって進行させることを見出してきた。 前年度までで反応条件の最適化やXAFS, XPS, XRD, DFT計算によるRb/βおよびCs/β触媒の構造解析および反応機構解析を行ってきた。当該年度では、論文化を進めるうえで不足していたβゼオライトに担持するアルカリ金属及びアルカリ土類金属のイオン半径と触媒活性及び選択性の相関の解析およびTPDによる触媒活性点となる酸点の分析を行った。 イオン半径と反応活性及び選択性の相関を調べるためにMg, Ca, K, Rb, Csをβゼオライトに担持したものを調製し、ベンゼンの直接酸化反応に用いた。選択性はどの触媒でも高く>99%のフェノール選択性を示した。対して転化率はイオン半径の増加に伴い増加する傾向が確認され、イオン半径と活性の相関が明らかとなった。 また、CO2-TPD及びCH3CN-TPDによりCs/βおよびRb/β触媒の酸点と塩基点の分析を行ったところ、CO2-TPDの結果からは塩基点の存在が確認されず、CH3CN-TPDからは弱い酸点が確認された。このことからゼオライト細孔中のRbイオンおよびCsイオンが弱いルイス酸として働くことが分かった。 以上の成果をまとめて、ACS Catalysisに投稿した。
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