研究課題
特別研究員奨励費
本研究では2015年に実施した調査航海で採取されたトンガ・ケルマディック弧Havre 火山の火山岩類について、全岩化学組成・鉱物化学組成分析から、マグマシステムの成因を解明し、大量の軽石の噴出を伴う2012年噴火を起こしたマグマの温度圧力条件とマグマ溜まり内プロセスの時間スケールを制約することを目標とした。さらには受入研究者が研究を進めている伊豆・小笠原弧のより浅海の流紋岩質海底火山の噴出物と比較研究を行い、海底噴火において噴火初期条件が噴出物の拡散・堆積過程にどのような影響を与えるのかについて、物質科学的観点から比較研究することを目指した。本年度はHavre火山の古期山体から採集された火山岩類について系統的な全岩化学組成分析と斑晶鉱物の主要元素組成分析を行い、古期山体は未分化な玄武岩から分化した安山岩・デイサイトに至るような多様なマグマによって形成されたことが判明した。これは海洋性島弧の火山が主に玄武岩と流紋岩のバイモーダルなマグマ活動によって形成されているとされる、従来の知見とは異なる結果である。伊豆小笠原弧のより浅い珪長質海底火山との比較研究として、北部伊豆弧大室ダシ海底火山において調査航海を実施し、溶岩ドームを構成する流紋岩について、Havre火山2012年噴火のものと表面形態や微細構造について比較研究を行った。また伊豆弧の代表的な流紋岩質火山である、神津島・新島の流紋岩質溶岩ドームとの比較を行い、Havre火山に代表されるような深海の溶岩ドームと浅海・陸上では冷却節理やクラックなどの産状に有意な差が存在する可能性が明らかとなった。8月に島根県島根半島で開催された、国際火山学および地球内部化学協会海底火山活動部会の国際巡検に研究分担者(Conway)が参加し、国内外の研究者と議論を行った。得られた研究成果については、順次論文投稿・投稿準備を進めている。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件)
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