研究実績の概要 |
本研究の目的は、集団種目のモチベーションビデオの主たる構成要素である「チーム全体(集団)のプレイ映像」と「チームメート(個人)のプレイ映像」に焦点をあて、それぞれの映像の視聴が集団効力感に与える影響を検討することであった。具体的には、モチベーションビデオの種類及び視聴から経過した時間の違いによって集団効力感に差が見られるかを検討することであった。 調査対象者は、熊本県上益城郡の小学校6年生児童26名(男16名、女10名)であった。調査は、一事例研究法の反転法(ABA法)に基づき、平成28年12月(前期8時間「チーム全体(集団)のプレイ映像」)と平成29年2月(後期6時間「チームメート(個人)のプレイ映像」)にハンドボール教材を用いて実施した。前期と後期の間に1.5ヶ月の空白期間を設けた。集団効力感の測定は、児童用集団効力感尺度(大平、2016)を用いた。 統計処理は、独立変数をモチベーションビデオの種類(「チームメイトのプレイ映像」、「チーム全体のプレイ映像」)と集団効力感の測定時期(「実施前」、「直後」、「単元終了後」)、従属変数を集団効力感とする対応のある2要因の分散分析であった。その結果、集団効力感の測定時期の主効果は有意であったが(F(2, 50)=12.92, p<.001)、モチベーションビデオの種類の主効果は有意であるとは言えず(F(1, 25)=3.56, n. s.)、要因間の交互作用も認められなかった(F(2, 50)=2.59, n. s.)。集団効力感の測定時期の主効果が有意であったため、ボンフェローニの方法による多重比較を行ったところ、「実施前」、「直後」、「単元終了」それぞれの間に有意差があり、「実施前」よりも「直後」(p<.05)、「単元終了後」(p<.01)の集団効力感が有意に高く、また「直後」よりも「単元終了後」(p<.05)の集団効力感が有意に高かった。
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