1研究目的 Googleマップは、Google社がインターネットを通して提供している地図、ローカル(地域)検索サービスであり、航空写真を使って地形を俯瞰して見たり、ストリートビューを使って現地を歩いて散策した景色を画像で見たりすることができる。このサービスを中学校理科における地学領域に利用して、校外学習を疑似体験することで、学習への関心を高め、より主体的に深い学びにつながると考えた。まず、本年度は、近隣の熊本県阿蘇地方を中心に野外調査を実施し、撮影した画像を紹介するとともにGoogleマップの活用方法を模索した。 2研究方法 平成28年熊本地震によって被災した熊本県熊本市および益城町周辺を調査し、地震によって生じた断層および被災した熊本城などの画像を撮影し、デジタル教材の開発を行った。Googleマップに取り込むことはできなかったが、Googleマップと合わせて画像を使用することで、授業の導入段階で活用できるようにした。 3研究成果 (1)Googleマップを用いることで、現地に行かなくても実際に歩き回っているようなリアルな体験ができ、授業の導入段階で子どもの意欲を高めることができ、その後の主体的な学びに有効であることが明らかにできた。ストリートビューは検索できる地点が増加しており、グランドキャニオンなど教科書ではわからない地形の空間的な広がりを知ることができた。 (2)今回はGoogleマップ上に現地調査を行った画像を取り込むことはできなかったが、合わせて使用することで、目的に応じた観察を行うことができ、火山灰や火山をつくる岩石の色やようすなど詳しい情報を得ることができることが確認できた。 地学分野における科学的な見方として、時間的・空間的な視点で捉えることができるようになることが必要である。デジタル教材を活用することは、子どもが空間的な視点から捉えることに有効であることが確認できた。
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