研究実績の概要 |
研究目的 砂型鋳造の鋳型製作では「手」による作業を行うため「経験や感覚」が必要とされる。特に鋳物砂の硬さは「ガス抜きの良さ」や「鋳型強度」に影響を生じる部分であるが, 均一に固める感覚や力の使い方には経験が必要となる。そこで本研究では, 砂型製作の感覚を理解しやすく伝える工夫として, 砂型製作時の内部の様子や引張圧縮ロードセル(荷重測定器)を用いた道具使用感覚の数値測定を試み, 砂型製作の工程や感覚を理解しやすくするための教材製作を目的とする。 研究成果 鋳型内部を可視化するため, 側面板をアクリルへ変更した鋳物枠(内寸は縦250×横50mm×高100)および転圧スタンプを垂直・水平方向に移動ガイドする作業台を製作した。可視化により突棒やスタンプによる転圧の違いを撮影し砂の様子を確認したが, その外観からでは顕著な差は見られなかったため, 砂を地層状に色分けし動きが見えるよう工夫した。また, 砂の目標硬度を50~60として転圧した場合, スタンプのみ作業では, 特に転圧部に比べ下層部の特に角や壁面の硬度が10~20程度と極端に柔らかく仕上がるため, 突棒による下層部の突き固め作業の重要性が確認できた。以上の可視化映像等を踏まえ, 砂型製作工程を説明する教材ビデオの製作を行った。 スタンプ作業時の転圧感覚を数値測定するため, スタンプ持ち手へ小型ロードセルを取り付け転圧荷重(N)と生型硬度計による鋳物砂硬度の測定を行った。目標硬度50~60として, スタンプのみにて作業した場合, 転圧1回目に100N程度, 2, 3回目に50~60N程度と初回に大きな荷重を加えることで転圧中心付近は上下層部とも目標硬度に達することができたが, その周辺は柔らかい。突棒後にスタンプ作業の工程では, 突棒により下層部を固めるため, スタンプ転圧1~3回目まで荷重50N程度にて固めると, 全体的に均一となりやすい結果となった。
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