研究目的 平成27年度に科学研究費(奨励研究)の採択を受け車いすの状態で、卓上旋盤の回転を停止させる手動ブレーキ取り付けの研究を行った。その中で、より一層の安全を確保するために調査を行った結果、手の平で押せる大きめの押しボタン式ブレーキが良いこと。さらには、学生支援で側にいる指導者も緊急停止ができる必要性と押しボタンの色は白、赤、緑、青の順に良いことが分かった。以上を考慮した結果からより一層安全の確保のために卓上旋盤に赤色の押しボタン式ブレーキを取り付けこととした。 研究方法 1. 電磁ブレーキ付きモータを取り付けシャフト(出力軸)の直径11.4mmとモータープーリの内径13.7mmとを繋ぐジョイントを鋼材S25Cで作った。 2. 下方向に押す直径5cmの赤色ボタンスイッチを旋盤の左上部に取り付けた。 3. 角型タンブラスイッチと5Aヒューズを入れた電源コードを作成した。 4. 減速装置を取り付けブレーキ試験を行った。 5. 赤外線デジタル回転計(横河製TM-300)でモータと主軸の回転数を測った。測定値は、既存のモータが3595rpm/minで電磁ブレーキ付きモータは1757rpm/minであった。減速装置を取り付けた場合の主軸の回転数は、各々85rpm/minと41rpm/minであった。 6. 北九州市教育委員会特別支援教育課に特別支援状況について調査したところ特別支援学校が小中高の通常学級に通う児童・生徒を状況に応じた支援も行っていることが分かった。 7. 他の支援も可能か検討するため専門学校の作業療法学科専任教員と面談した。 8. 特別支援学校高等部学習指導要領に準拠した「学習(旋盤実習)指導案」を作った。 研究成果 押しボタンスイッチで電磁ブレーキ付きモータの回転を停止できた。減速装置との組合わせでより安全性が高くなった。また、複数のスイッチを設け指導者が緊急停止させることもできた。今回、車いすの学生の支援を対象とした。改良で右前腕欠損の学生でも支援が可能であることが分かった。
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