研究実績の概要 |
[1]研究目的 温度依存性及び引張圧縮特性に差異を有するMg材料等の力学的応答を厳密に調査するためには, 温間での単軸引張及び圧縮試験による評価が必要不可欠となる. 温間試験を実施する際, 引張試験は市販の万能試験機に恒温槽とビデオ伸び計を用いる方法が定着している. この手法は概ね精度良く応力-ひずみ曲線を取得できるが, 現状, 圧縮試験に関しては, ひずみ測定技術が確立されておらず, 定着手法が存在しない. 本研究では, 温間域でも使用可能な高精度圧縮ひずみ測定手法の開発とその精度検証を実施した. [2]実施計画 (a) 万能試験機から出力されるクロスヘッド移動量を用いた試験片ひずみ算出手法の確立 クロスヘッド移動量を試験片伸縮量とした場合, 実際には試験片と試験機両方の変形を含むために試験片ひずみが過大に評価される. それゆえ, 試験片伸縮量はクロスヘッド移動量から試験機伸縮量を除くことで高精度化されると考えた. 材料力学の知識を応用して, 万能試験機から出力される荷重―クロスヘッド移動量曲線をもとに, 試験片伸縮量を高精度に算出可能な定式化を考案した. (b) ひずみゲージとの比較による精度検証 過去の研究において, A6061-T6材は, 単軸引張と単軸圧縮試験による真応力-対数ひずみ関係が同一になることが示されている. A6061-T6材を用いて, ひずみゲージによる単軸引張試験結果と本ひずみ算出手法による単軸圧縮試験結果の比較を行い, 本手法の精度検証を行った. [3]研究成果 開発手法をもとに, A6061-T6材を用いて, ひずみゲージによる単軸引張試験と本ひずみ算出手法による単軸圧縮試験結果の真応力-対数ひずみ線図を比較した. 両曲線は良好な一致を示しており, 対数ひずみ1%以内の微小変形領域においても, ひずみゲージ並の精度を有することが分かった. 本手法はクロスヘッド移動量を用いるため, 試験機が弾性変形内であれば試験温度に依存することなく, 高精度の圧縮ひずみが測定可能となる. 以上より, ひずみゲージを用いない高精度の圧縮ひずみ測定手法の開発に成功した.
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