申請者は、これまでに水中衝撃波を用いた食品等の加工技術の実用化を目指し、長時間の連続稼働が可能な高電圧大電流の水中火花放電による水中衝撃波発生装置を開発した。また、より高強度な水中衝撃波の生成のため、電気放電を用いた水中衝撃波生成技術の研究を進めている。本研究では、電気エネルギーにより水中電極間に這わせた金属細線を瞬時に蒸発させることにより高強度の水中衝撃波を発生させる金属細線爆破を用いた衝撃波の生成技術について、水中衝撃波の強度に対し起因しえる放電パラメータを明らかにし、本技術による水中衝撃波の制御性を向上させることを目的としている。研究では金属細線の線径と線長による衝撃波強度について、高速度カメラを用いた可視化及び衝撃波強度と伝播特性の計算を行った。また、任意点において、圧力センサーを用いた測定も行い、計算値の評価を行った。さらに金属細線爆発時の放電特性を計測し、投入エネルギーと放電時間により求まるパラメータについて衝撃波強度との関連性を定量的に明らかにし、金属細線条件と放電特性による衝撃波強度の制御を可能なものとした。また、得られた結果をまとめ、雑誌論文(International Journal of Multiphysics)へ投稿し公表した。研究により申請者らが開発中の水中衝撃波を用いた装置の制御性と実用性を向上させ、水中衝撃波を用いた産業応用技術の実用化が促進された。
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