研究実績の概要 |
本研究の目的は, 身の回りに増え続けるコンピュータやロボットを題材に, 仮説・実験・検証を通した改善プロセスやプログラミング等の活動を通して, 工学的な考え方・論理的な考え方を身に付ける場を設計することである。テクノロジーの発展に伴い, コンピュータやロボットの存在はより一層意識する機会が少なくなることが見込まれる。しかし, より良い社会を目指す生徒を育成する上で, 現在の社会の「しくみ」に深く関わっているこれら「機械」の存在を無視することはできない。それゆえ, これらを認識し操る能力は今後ますます重要になる。その能力を身に付け向上させる場および入口として興味・関心を惹くことが必要である。 研究の方法は次の考え方に沿っている。目的に適う教材開発と実践においては, 座学による知識の習得と実習による体験に基づく理解の両方を提供することが必要である。これらを準備し試行する。座学には, 事例収集や現物を含む教示資料を入手・加工する必要がある。実習には, 実習教材の入手・準備や資料の作成をする必要がある。これらを組み合わせたクラスを高校生の一部の生徒を対象に試行し, 効果の度合いを評価・検討する。 研究成果として, 次のことが挙げられる。電子回路基板として教育用シングルボードコンピュータを利用した。ビジュアル・プログラミング開発環境を利用したプログラミング活動の場を提供し, I/Oポートに接続したLEDの色を切り替えるプログラムの作成等に取り組んだ。活動の前後には3Dプリンター, マルチコプター, シングルボードコンピュータでコントロールしているロボットなどを活動の背景と関連付けて認識させた。興味・関心の変化に関するアンケートでは, 5段階の回答項目のうち肯定的な回答をした生徒の割合は78.5%であった(N=65)。今後, 小・中学校での情報教育が充実すれば, JavaScriptやPython等によるコーディングも視野に入れることができるだろう。
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