太陽光には可視光だけでなく赤外線・紫外線などの不可視光線が含まれている。人間は可視光の波長しか感知することができないが、不可視光線の撮影イメージは人間の肉眼では観察できない情報を持っている。画質を高めるために大画面や高精細なテレビ等が開発されているが、一方で、可視光画像に不可視光線画像を統合することができれば、これまでとは異なる新しい特徴の分析が可能となる。本研究では、この画像の統合により、対象物が本来持っている特徴を異なる観点から分析可能とするシステムを構築することを目的とした。 最初に、通常のデジタルカメラに組み込まれた赤外線・紫外線カットフィルターを取り除き、赤外線画像の撮影には赤外線透過可視光カットフィルターを、紫外線画像の撮影には紫外線透過可視光カットフィルターを、可視光カラー画像の撮影には、赤外線・紫外線カットフィルターを用いて、それぞれ可視光カラー画像、赤外線モノクロ画像、紫外線モノクロ画像を撮影した。 可視光領域の情報に加え、赤外線・紫外線領域の情報を付加するため、ハイダイナミックレンジ合成を用いて画像を統合することにした。ハイダイナミックレンジに対応した画像フォーマットとして、HDR形式を用いた。HDR形式を扱うソフトを用い、位置合わせ、画像合成、トーンマッピングを行い、撮影画像が持つ情報を強調した合成画像を作成する方法について検討を行った。合成時の重み付け関数やカメラのレスポンスカーブ、トーンマッピングの手法を変更することによりさまざまな合成を試み、可視光カラー画像だけでは表現できなかった情報を付加した合成画像を取得することができた。今後はこの統合画像がもつ画像情報を分析し、対象物が本来持っている特徴を従来とは異なる観点から分析可能なシステムの構築を目指す予定である。
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