研究実績の概要 |
外来生物の在来生物への影響を知るための1事例として, 野生ハナバチ類と訪花植物の相互関係を, 外来植物と在来植物の視点から見直し, 外来植物が野生ハナバチ類の群集構造に及ぼす影響について調べることを本研究の目的におき, 本研究では以下の調査を実施した。 1 野生ハナバチ相の調査 茨城県下で開花植物が出現する期間に, 既存調査地における訪花ハナバチの見つけ取りを行い, 既調査地域の現況確認と資料の補完を行った。 2 野生ハナバチ類と訪花植物の関係のデータ入力 (1) データの入力 茨城県内で既に調査が行われている菅生沼周辺(Hisamatsu and Yamane, 2006), 八溝山麓(久松・山根2008 : 筑波山(Hisamatsu, 2010), 阿字ヶ浦(久松, 2011), 霞ヶ浦湖畔(久松, 2011), 北茨城(久松, 2015)の6カ所に採集データ(種(分類), 雌雄, 採集日, 採集地, 訪花植物種, 外来植物と在来植物の区別)のデジタル入力を行い, 調査地間で齟齬があるデータの修正を行った。 (2) 野生ハナバチ定期採集の結果報告 茨城県笠間市片庭で実施した野生ハナバチの定期採集を集計し, 野生ハナバチの種構成と茨城県の野生ハナバチ群集の特性をまとめ環境動物昆虫学会誌「環動昆」に投稿した。 (3) 野生ハナバチと被訪花植物の関係について集計 茨城県内6カ所の調査報告に, 笠間市片庭で採集した野生花バチの採集データを加え, 以下のデータについて集計した。 ・野生ハナバチの種数, 個体数, 優占種, 資源状態の多様性, 訪花性 ・被訪花植物の種数, 個体数, 優占種, ハナバチの種多様度, 外来・在来の区別, 送粉性 集計結果については, 博物館研究報告等に投稿する予定である。 3 研究成果の公表 一部成果については, 環動昆に原著論文「笠間市片庭における野生ハナバチの種構成と茨城県の野生ハナバチ群集の特性の比較」を投稿し掲載された。
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