オキサリプラチンは、切除不能な進行再発大腸癌に対して、高い抗腫瘍効果や生存期間の延長が認められているが、オキサリプラチンの用量規制毒性である末梢神経障害が発現すると、患者のQOLを著しく損なうだけでなく、抗がん剤の減量、休薬、治療中止等による治療効果の低下に繋がるが、その有効な予防法や治療法は確率されていない。プレガバリンは、「神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン」において、神経障害性疼痛の第一選択薬として推奨されている。そこで、mFOLFOX6などのオキサリプラチンを含有する化学療法レジメンが実施される患者を対象として、末梢神経障害に対するプレガバリンの症状予防効果について検討した。 対象は2015年1月から2016年12月までに岐阜大学病院の外来化学療法にてオキサリプラチンが投与された転移性大腸癌患者9例を対象とした。Grade1の末梢神経障害が発現した段階で、プレガバリン(初回量 : 150mg/day)を開始し、その後、プレガバリンの副作用が忍容される場合は維持量(300mg/day)に増量した。主要評価項目は、エルプラットによるGrade2の末梢神経障害発現する累積投与量の500mg/m2が投与された時点でのGrade2の末梢神経障害の発現率とした。副次評価項目は、プレガバリンの副作用とした。 9例中2例は、末梢神経障害の発現がみられなかったため、プレガバリンの内服は施行されなかった。9例中7例にGrade1の末梢神経障害発現した時点で、プレガバリンの内服が開始となり、治療期間は継続して内服を行った結果、オキサリプラチンの累積投与量が500mg/m2時点で、Grade2の末梢神経障害が発現した症例はみられなかった。ただし、1例はプレガバリン内服開始後、Grade2の浮動性めまいが発現し、プレガバリンの内服が中止となった。 症例数が少ないものの、プレガバリンのオキサリプラチンに対する症状予防効果が期待できる結果であり、今後は、さらなる症例蓄積を来ない、その有効性について明らかにしていく予定である。
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