研究課題
奨励研究
サルコペニアは加齢を要因とする骨格筋萎縮であり、運動器不全症や様々な内科的合併症の発症リスクを高める。したがって、超高齢化社会に突入した我が国において、その克服は喫緊の医学的課題といえるが、その病態は未だ不明であり有効な薬物療法もない。成体においては、骨格筋量はタンパク質の分解と合成経路のバランスによって規定されるが、各々の経路別の解析に比較し、両者のクロストークやバランスを制御し、様々な状況下における個体にとって最適な骨格筋量を規定する因子などは明らかになっていない。研究代表者の所属する研究室では、臨床的にアンメットニーズであるステロイド(グルココルチコイド)誘発性筋萎縮に焦点を当てた。その理由は、ステロイド服用患者の高齢化に伴い筋萎縮は今後さらに重要な医学的課題となり、敗血症、癌悪液質、飢餓、糖尿病、慢性腎不全など多様な原疾患に伴う筋萎縮にステロイドとその受容体であるグルココルチコイドレセプター(GR)が共通の分子基盤である可能性が指摘されているからである。研究代表者は、ステロイド筋萎縮に対する分岐鎖アミノ酸の治療効果を検証する医師主導型臨床試験およびそのフォローアップに骨格筋量評価者として参加し、骨格筋量を推定可能な汎用性を有する非侵襲的方法が未確立であることに驚いた。本研究では、第一に、CTスキャン、バイオインピーダンス法による体組成解析法を発展させ、骨格筋量の定量的解析に応用することに成功した。その結果、臨床的にも分岐鎖アミノ酸の大量投与が筋量と筋力の回復に有効である可能性が示唆された。また第二に、骨格筋量を反映する血中バイオマーカーとして、複数の候補分子を見出しており、より侵襲性の低い検査方法を開発する研究を今後も推進する予定である。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (7件) 備考 (2件)
Modern Rheumatology
巻: Epub ahead of print 号: 3 ページ: 508-517
10.1080/14397595.2016.1213480
http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/rheumatol/allergy/index.html