研究実績の概要 |
「ジルコニアの義眼製作方法構築への応用」 研究目的 現在の義眼材料であるPMMA(アクリルレジン)の欠点を補って、長期使用が可能なジルコニア製義眼の製作方法を構築することを目的とした。 研究方法 1、任意の3D義眼形状データ(STLデータ)を作成した。 2、歯科用ミリングマシーンに義眼形状データを入力し、機械加工により、ジルコニアディスク(直径約98mm、厚さ約18mm)からジルコニア義眼を削りだした。 3、削りだした義眼形状にガラス材を浸透させた後、約1,600℃の焼成釜で約6時間かけて焼結させた。 4、日本人の基本的な虹彩色の基準を決定するために、一番作製する頻度が高い虹彩色の3種類色見本を株式会社日本義眼研究所より借用して、歯科用色彩計を用いてL*a*b*表色系における色彩測定を行った。 5、ジルコニア義眼形状への虹彩(黒目)の着色には3種類色見本を参考に、歯科陶材用着色材を組み合わせて積層着色し、830℃~870℃で焼成した。着色の度に5℃ずつ温度を下げることで、色の混ざり合いを防ぎ、色見本に合わせた色調を再現できることが確認できた。 6、虹彩色色見本に近似させるように着色・焼成した、3種類の試料体も歯科用色彩計を用いてL*a*b*表色系における色彩測定を行ったが、測定数値は近似してはいなかった。 7、着色した虹彩の上に透明色の陶材を焼成させることで、レンズ効果を持たせ、生体同様の瞳の形状を付与することができた。 研究成果 歯科用CAD/CAMシステムを応用することによりジルコニア製義眼形状を削りだすことが可能となった。また、歯科陶材用着色材を応用することで義眼の虹彩を着色することが可能となった。デジタル技術(形状作製)とアナログ技術(虹彩の着色)の融合により、ジルコニアを用いた義眼の製作方法を構築することができた。
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